2015年12月11日 更新

”文化を着る”ということ~一般社団法人 代表理事 高倉氏に聞く

着物で世界をつなぎ、もてなす ”KIMONO PROJECT”。その奥に秘められた、”文化としての着物”への強い想いに迫る。

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世界196ヵ国、それぞれの国をモチーフとしたKIMONOを製作することで、
「世界はきっと一つになれる」という「世界平和」のメッセージを世界に伝える——

2014年にスタートした、一般社団法人イマジン・ワンワールドによる”KIMONO PROJECT”。
”世界中の国々を等しく「想い」
それぞれの国の文化や伝統を「想い」慎みながら
最高の技術とデザインで創作する「KIMONO」”をコンセプトに、
日本を代表する職人たちが製作に力を尽くしています。


2015年10月10日、きものサローネin日本橋で、”KIMONO PROJECT”で製作された12ヵ国の着物をお披露目するショーが行われました。

鮮やかな色彩と美しい生地。普段はなかなか感じることのできない”芸術としての着物”の、最上級の美がそこにはありました。
ひとつひとつのKIMONOの絵柄に詰まった職人たちの思い、そしてそれを受けてステージに立つモデル達の思いが、ショーを見に訪れた多くの人の胸を打ちました。
 (1604)

着物はただの”着るもの”ではない

世界をつなぎ、もてなす”KIMONO PROJECT”を進めている一方で、創業77周年の老舗呉服屋の代表でもある高倉 慶応さん。

まずはどうして”KIMONO”で世界をつなごうと考えたのかをお聞きしました。
「それは呉服屋だったからですね(笑)。私は、着物は単なる”着るもの”ではなくて、作り手の気持ちが宿る”芸術”だと思っています。そして、これからもそうあってほしい。今はレンタルの振袖などがあるが、それは”ごっこ”に見えてしまう。そういう”ごっこ”じゃ見つからないものがあると思うんです。

 今回のショーでは、作る人と着る人が真剣にKIMONOに向き合っています。作り手はもちろん真剣にKIMONOを作っているし、ショーのモデル達はしっかりとそのストーリーを理解して舞台に立っています。こうやって真剣に向き合ってこそ、”文化”として着物を着ることができるのだと思います。

 IMAGINE ONEWORLDでは、世界をつなぐ、もてなすという以外にも、日本人にもっと日本の文化を知ってもらいたいという願いがあるんです。」
 (1601)

KIMONOというキャンバスに描く魅力

 今回のきものサローネin日本橋では、KIMONO PROJECTで今までに製作された12ヵ国のKIMONOがショーを鮮やかに彩りました。どのKIMONOもモチーフの国を美しく表現しており、見る者に未知の国への憧憬を抱かせます。
 限られた”着物”というスペースの中で、その国の魅力を伝え切るような作品に仕上げるのは至難の業ではないかと思います。これらの着物のテーマを選ぶ際に、大切にしていることを伺いました。
「大体ひとつの国にテーマは三つに絞り込みました。その際には絵画など、本物の方が美しくて当たり前なものは除きましたね。全体として、モチーフとした国の元首の前でも着られるような、上品でエレガントなものに仕上げました。」
 (1605)

着物をキャンバスにすることの魅力についても語ってくださいました。
「どうやって着物というキャンバスを使っていくか、というイメージを膨らませました。着物の魅力というのは、まず二次元として見て楽しんで、それから着た姿を三次元としても楽しめるということでしょうか。まさに”見て良し、着て良し”ですね。

 また、着物で表しきれないことは、帯で表すなんていうこともできます。イタリアをモチーフとした着物で、帯にスーパーカーのヘッドライトを組み合わせたデザインをしたのは面白かったですよね。」
 (1603)

”文化”としての着物に誇りを持って着てもらいたい

 こだわり抜いて製作された、世界をモチーフとした華やかなKIMONO。今後製作が進むにつれて、より多くの若者の注目も集めるのではないかと期待されます。
 最後に、着物に興味を持っている、着てみたいと考えている若者に伝えたいことをお聞きしました。
「先ほども伝えましたが、若い人たちにも”ごっこ”ではなく本物の着物に触れてほしい。今日のショーのようなKIMONOを”山のてっぺん”だと思って、目指していってほしいですね。今は浴衣やリサイクルの着物が流行っていて、もちろん着物に興味を持ってもらえるのは嬉しいですが、最終的にどこを目指すのかということは見誤らないでほしい。ぜひ”文化”としての着物に誇りを持って着てもらいたいです。

若い人たちにとっては、着物は「買ってもらうもの」でいいと思います。自分で本物の着物を買うのは高すぎると思うので。多分あなたのおばあちゃんは、あなたに着物を買ってあげたいと思っていますよ(笑)。
 最初は自分に似合う着物が分からないのと思うので、お店の人やおばあちゃんに似合うものを選んでもらった方がいいでしょう。そうやって選んでもらった着物を着るということは、”その人の思いを着る”ということにもなります。”人の手を使う”ことも忘れないでいてほしいです。」
 着物とは”着るもの”であるだけでなく、芸術であり、文化でもあります。また、人と人、世代と世代をつなぐという役割も秘めています。
 このような素晴らしい文化が薄れていってしまわぬように、日本人である私たちがもう一度、日本文化を学びなおす必要があるのではないでしょうか。
正しい方向へ着物という誇り高い日本文化が続いていくように、私たちも先輩方の力を借りながら、真剣に着物と向き合っていきたいですね。
 (1600)

一般社団法人 イマジン・ワンワールド KIMONO PROJECT
Web:http://piow.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/imagineoneworld
Twitter: https://twitter.com/piow_jp @piow_jp

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