2015年12月11日 更新

【伝統技術】織りからみる日本の伝統着物 ☆4選!!

着物は大きく分けて織りと染めの二つの部類に分けられます。今回は「織り」にスポットを当てて着物の魅力を解き明かしていきます。

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織りの着物、染めの着物の違いってなあに?

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織りの着物、染めの着物の違いは、

織りは糸の段階で染色をしてそれを織り込んでいったもので、
染めは色をつけていない糸で織ってから模様を染めていくものです。

なので、染めの方が模様を自由に表現することができます。
織りは糸の素材の表情を出したりするのに適しています。
織りの方が出来上がりを自然に任せているようなイメージです。

今回はその独特な風合いが出る織りの着物をご紹介します!

1 芭蕉布(ばしょうふ)

芭蕉布

芭蕉布

芭蕉布はすべて自然のものから作られます。
芭蕉布(ばしょうふ)とは、バショウ科の多年草イトバショウ(Musa liukiuensis)から採取した繊維を使って織られた布のこと。
1974年に沖縄県大宜味村喜如嘉の芭蕉布が国の重要無形文化財に指定されている。
芭蕉の葉

芭蕉の葉

芭蕉の繊維からできた糸

芭蕉の繊維からできた糸

植物からこんなに立派な糸ができるのです!
芭蕉布は糸芭蕉から繊維をとってそれを糸にして織っていく織物です。

糸にする と一言で表していますが、繊維を糸にするまでには
たくさんの手間と技術がかかります。

皮を剥いでアクをとって水洗いして繊維を取り出して糸を紡いで…。

そのあともその糸を染色したり、織りあがった後も洗濯してサイズを整えて、など
本当に本当に根気のいる作業が続きます。

ですがこういった作業を重ねていくおかげで
芭蕉布独特の繊細で柔らかな風合いが生まれるのです ◎

麻とは違った感触で、とても涼しい盛夏の着尺地として用いられます。

沖縄に行った際には ”芭蕉布会館” もあるので
ぜひ行ってみてください!
芭蕉布の着物

芭蕉布の着物

糸を作る手間を考えると
これだけの着物を仕立てるのには
相当な時間がかかったんだろうなあと
感動してしまいますね。

2 上布

上布

上布

上布は上等な布という意味から、その名が付けられたといわれています!
上布(じょうふ)は、細い麻糸を平織りしてできる、ざらざらした張りのある上等な麻織物。縞や絣模様が多く、夏用和服に使われる。
上布の主な産地は

越後上布(新潟)
宮古上布(沖縄)
近江上布(滋賀)
能登上布(石川)

です。
苧麻(ちょま)

苧麻(ちょま)

これが糸の原料になります。
あまり想像がつかないですね!笑
この”苧麻”と呼ばれる植物から繊維をとり、糸を紡いでいきます。
苧麻からとった繊維を”青苧(あおそ)”と呼び、青苧を一つずつ爪で割いて
よりをかけて糸を紡ぎます。

糸紡ぎは均等に同じ細さの糸を作っていかなければならないので
とても繊細な作業になります。

越後上布は織りあがった後 ”雪晒し” ということをします。
雪晒しの様子

雪晒しの様子

真っ白な雪の上に織りあがった生地が並んでいるのは幻想的ですね ◎
湿らせた布を、雪の上に晒すことにより、太陽熱で雪が溶け、水分が布目を通して蒸発する際に、オゾンが発生し、布を白くします。
雪晒しは天然の漂白作用があります!

……なんて知りませんでした。。笑
自然の力はすごいですねっ
越後上布の着物

越後上布の着物

雪晒しによって透明感のある美しい白に仕上がっていますね!
美しいです…!

3 紗

紗

紗は透き通って見えるところが特徴です。
紗(しゃ、うすぎぬ、さ)とは捩織で織られた、薄く透き通る絹織物。
緯糸を一本ずつ取った上で、強捻糸の経糸を二本ずつ絡ませて織り上げたもので、生糸で織り上げることが多い。
紗には様々な種類があり、

顕文紗(けんもんしゃ)
透文紗(すきもんしゃ)
穀紗(こめしゃ)
金紗(きんしゃ)

などがあります。どれも向こう側が透けて見えるくらい
薄くおられています。
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透けていないところが浮かび上がって見えます。
網の目のように透けているので、通気性がとても良く
盛夏のきもの地として用いられています。

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4 お召

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お召(おめし、御召)または御召縮緬(おめしちりめん)は主として和服に用いられる絹織物の一種。羽二重などとともに最高級の素材として、略礼装・洒落着に好まれる。経済産業省指定伝統的工芸品。
御召は通常の縮緬よりもコシがつよく、紬よりはしっとりと馴染む独特の風合いがあり、着崩れしにくく、裾さばきがよいために、洒落着に向くとされる。
お召は左右の強いよりをかけた緯糸で織り上げたもので、
お召特有のコシと張り、シャリ感が上品な風合いの織物です。

普通は経糸によりはかけずに、緯糸によりをかけてしぼを出すのですが、
お召は経糸に強いよりをかけた八丁撚りという糸を使い、緯糸にもよりの強い糸
を使うことによって、しぼがより大きく現れます。
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しぼがでているのがわかります。
染めの着物とは違い、織りは
こういった質感の違いが出せるのがとても素敵です!♪

質感を楽しむ 織りの着物

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いかがでしたか?

染めは豪華で華やかな印象が出やすく素敵ですが、
織りも織りで風合いや表情が様々なのでとても素敵です。

織りは糸の表情を楽しむものです。
なので糸からどのように作られているか知ると
もっと興味が湧いてくるかと思います。

個人的には上布の”苧麻”が衝撃的でした!
あれが糸になるなんて…
苧麻自身も自分が素敵な着物になるなんて想像していなかったでしょうね…!


織りにはほかに有名な「紬」もあります。
今回は入りきらなかったのでまた違う記事で改めてご紹介します!

もし興味を持たれた方がいましたら
素材から調べてみると面白い発見があるかもしれません!

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